実存主義の流れと一問一答
キルケゴールからボーヴォワールまで、自己の生き方、自由と責任、他者との関わりをたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(31問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
キルケゴール――個人の選択と信仰
実存主義では、人間を一般的な定義だけで捉えず、具体的な状況の中で選び、生きる一人一人に目を向けます。その先駆者であるキルケゴールは、当時の体系的な哲学や、群衆に同調する生き方に対して、個人が自分の生き方を引き受けることを重視しました。神の前に一人で立つ単独者という考え方は、その姿勢を表しています。
美的実存は快楽を追う生き方、倫理的実存は義務と責任ある選択を重視する生き方、宗教的実存は信仰において自己のあり方を求める生き方として整理できます。これらを年齢とともに自動的に進む段階とは考えません。『死に至る病』では、自己と向き合えない絶望を、自己と神との関係から分析しています。
ニーチェ――既存の価値を問い直す
キルケゴールが信仰との関係で自己を問うたのに対し、ニーチェは従来の宗教や道徳が支えてきた価値を問い直しました。最高の価値が力を失うと、人は生きる意味を見いだせなくなることがあります。この問題を捉える語がニヒリズムです。
ニーチェは虚無にとどまるのではなく、自らを乗り越え、新たな価値を生み出す超人という理想を示しました。力への意志は自己を高め、抵抗を乗り越えようとする生の働きを捉える概念です。『ツァラトゥストラはこう語った』で扱われる永劫回帰は、同じ人生が繰り返されるとしても、その生を引き受け肯定できるかを問いかけます。超人を他人への支配の強さだけで捉えないことが大切です。
ヤスパース――限界状況と交わり
キルケゴールやニーチェの思想は、後の実存哲学にも影響しました。ヤスパースは、死や苦悩、争い、罪責など、普段の知識や技術では根本的に取り除けない限界状況に注目しました。そうした状況に直面することは、自分が何者として生きるかを問い直す契機になります。
ヤスパースが重視したのは、孤立した自己だけではありません。互いを一人の主体として尊重し、自己のあり方を問い合う実存的交わりを通じて、自己を明らかにすることを考えました。また、限界状況に直面した自己と超越者との関係を問いました。『哲学』では、実存と他者、超越との関わりが重要な課題になります。
ハイデガー――世界の中で生きる存在
ハイデガーは現象学の方法を受け継ぎながら、『存在と時間』で存在の意味を問い直しました。その出発点となるのが、自分自身の存在を問い、存在について理解している現存在です。人間は外の世界を眺めるだけの孤立した主体ではなく、道具や人々と関わりながら生きています。このあり方を世界内存在として捉えました。
日常の中では、「みんながそうする」という世人の基準に従い、自分の選択を見失うことがあります。これに対し、死への存在という視点は、自分の生が有限であり、他人が代わりに引き受けられない可能性をもつことに気付かせます。死を勧める思想ではなく、有限な生をどう引き受けるかという問いとして理解します。
サルトル――自由と社会への参加
サルトルはハイデガーなどの思想から影響を受けつつ、無神論的な実存主義を展開しました。「実存は本質に先立つ」という定式は、人間の生き方が最初から固定されているのではなく、選択と行為を通じて形づくられることを示します。自由には、自分の選択を引き受ける責任が伴います。
『存在と無』で論じられる自己欺瞞は、自分を固定的な役割や性質だけで説明して、自由と責任から逃れようとする態度です。自由は社会から離れて好き勝手に振る舞うこととは異なります。アンガージュマンという考え方は、社会の問題を自分の問題として引き受け、主体的に関わる姿勢へとつながります。
ボーヴォワール――自由を妨げる社会の条件
ボーヴォワールは、実存主義における自由や他者との関係を、女性が置かれる具体的な状況から問い直しました。『第二の性』では、男性が標準的な主体とされ、女性がその主体とは異なる他者として扱われる社会のあり方を分析します。女性の生き方を身体の特徴だけで説明せず、歴史や社会の条件にも目を向けました。
ここでは、自由な選択を語るだけでなく、その選択を妨げる制度や慣習にも目を向ける必要があります。自分の生き方を引き受けることと、他の人の自由を尊重することを関連付けて考えられます。この章の思想を比較するときは、信仰、価値の創造、他者との交わり、有限性、社会への参加という異なる視点を区別し、どの思想が正しいかを一つの正答にしないことが大切です。
一問一答
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用語から説明を選ぶ(4択)
用語を見て、正しい説明を4つから選びます。似た種類の用語の説明と比べて選びます。回答後に正しい用語との対応を確認できます。キーボードでは1〜4で選べます。